西丹沢・畦ヶ丸山(1292m)で撮影
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【事務局報告】
通算61回 平成29年度第3回 理事会開催報告(概要)
 日時:平成30 年2 月28 日(水) 15 時00 分 ~ 17 時00 分
 場所:(一社)全国地質調査業協会連合会 会議室
 出席:中田会長,古宇田副会長,秋山理事,小野理事,長瀬理事,黛理事,土屋監事,
    (オブザーバー)池田全地連事務局長,根岸事務局長
 議題:1)平成29年度総会の日程・議案について ⇒ 議決
     2)平成29年度活動報告(案)について  ⇒  議決
     3)平成29年度決算見込みについて   ⇒  議決
     4)平成30年度活動について      ⇒  議決
     5)その他              ⇒  議決
      ・支援事業3件の報告
      ・「一般財団法人国土地盤情報センター」設立について
      ・NewsletterNo.114について,など
 理事会の議事録は http://www.gupi.jp/GupiReport.html で公開しています。
【事務局報告】
「鉛直一次元柱状体モデル作成システム」について
 当機構第1事業部(地盤情報担当)では,「GUPI Free Website」を開発し,一般に公開していますが,この程第2弾として「鉛直一次元柱状体モデル作成システム」を開発・公開いたしました。 本レターでは,特徴や利用場面などについてご紹介します。
【1】鉛直一次元柱状体モデル作成システム
  ・「地層境界モデル(通称サーフェスモデル)」から二次的に作成された「パネルダイアグラム(イメージデータ)」から,任意場所のメッシュの鉛直一次元柱状体モデル(以下,柱状体モデル)を作成することができます。
  ・使用するパネルダイアグラムは,全地連が運営する『CIMに対応するための地盤情報共有基盤』>「三次元地盤モデル作成支援サイト」>「(6)パネルダイアグラム(png画像)の推定」で作成されたものです。
  ・営利目的非営利目的にかかわらず,どなたでもご自由にご利用頂けます。

図-1 トップページ(部分)。 https://www.web-gis.jp/Geo_PrismModel/index.html
【2】柱状体モデルの作成手順
 ・図-2 は,柱状体モデルを作成するための概略手順です。
 ・図上段の『CIMに対応するための地盤情報共有基盤』は,以下のURLのウェブサイトを指します。
  https://geonews.zenchiren.or.jp/cim3d/index.html
 ・図下段の『鉛直一次元柱状体モデル作成システム』が,今回開発したシステムです。
 ・『CIM・・・』から引き継ぐデータは「ボーリングモデル作成用カラーコードデータ(CSV)」と「パネルダイアグラムイメージ(PNG)」です。
 ・また,パネルダイアグラムの「始点と終点座標」と「上端と下端標高」が必要です。別途記録してください。
 ・位置座標は,平面直角座標系の「Y座標(東西)」と「X座標(南北)」です。なお,座標系番号は,上記カラーコード用ファイルに保存されています。

【3】地層境界深度(標高)の読み取り
 ・パネルダイアグラムのイメージデータ(png)をWindowsのCANVASに取り込みます。
 ・最大幅に対する分割数で,水平位置を指定します(等間隔)。
 ・指定した水平位置で,上端から下端まで1Pixcelずつ色コード(RGB+A)を取得します。
 ・別途読み込んであるボーリングモデル作成用カラーコードデータ(CSV)の「地層名~カラーコード」の関係を使用して,地層の上端深度(標高)を計算します。
 ・出力は,図-3のように一覧表として表示すると共に,別途CSVファイルで保存することができます。
 ⇒ Shift-JISで保存すると,EXCELでそのまま読み込めます。
 ・この一覧表データ(CSV)と,別途作成した地層ごとの属性データにより,マイクロゾーニングなどを目的とする,地震応答シミュレーションが可能となります。
 ・お断り。イメージデータから標高を取得しています。1Pixcelあたりの精度を画面右に表示してあるように,標高で1m程度の誤差が発生します。精度が必要とされる建築などの予測計算には使用しないでください。

図-2 柱状体モデルの作成手順

図-3 地層境界深度(標高)の読み取り
4】速度層統一凡例の作成
 ・地盤の動的特性を網羅した統一凡例で,地震動シミュレーション(マイクロゾーニング)などのパラメータデータに使用できます。
 ・各速度層ごとに「速度層番号」,「地層名」,「地質記号」,「地質年代」,「S波速度値」,「P波速度値」,「減衰常数」,「非線形特性」,「平均粒径D50」,「細粒分含有率」と「カラーコード」を統一ファイルとして記録・保存します。
 ・「地質記号」と「カラーコード」は,「三次元柱状図用パラメータファイル」からも自動的に読み込めますが,他の情報は入力枠から手入力します。
 ・この統一凡例ファイルは,「鉛直一次元柱状体モデルの作成」と「標準貫入試験結果(N値)の速度層別集計」に使用します。
 ・出力データ(CSV)の部分修正機能があるので,数値の変更程度は可能です(層の加減には対処していないので,テキスト編集アプリを使用してください)。

【5】柱状体モデルデータの作成
 ・【3】と【4】の各出力データを使用して,柱状体モデルデータ(CSVorXML)を作成します。
 ・作成は1箇所ずつ行いますが,国土地理院の測量APIを使用して「緯度・経度」の各値を自動取得します(柱状体モデルの連続作成プログラムの開発はご自身でお願いします)。

図-4 速度層統一凡例の作成(動的地盤のケース)[クリックで拡大]

図-5 柱状体モデルデータの作成(右図内はXMLの例)[クリックで拡大]
【6】標準貫入試験結果(N値)の速度層別集計
 ・速度層ごとにN値の平均値を計算します。
 ・(平均)N値から,S波速度値を推定する場合に便利です。
 ・「N値の測定グラフ」と「速度層柱状図」を描画すると共に,「開始深度」,「合計N値」と「合計貫入量」と一覧表で表示します。
 ・また,ボーリング交換用データ(XML)に,土質試験結果や原位置試験結果の情報が保存されている場合は,その内容を表示します。
 ・使用に当たっては,「速度層統一凡例ファイル」と別途作成した「速度層情報が追記されたボーリング交換用データファイル」が必要です。
 ・ボーリング交換用データファイルに,速度層情報を追記するアプりも用意してあります。

図-6 標準貫入試験結果(N値)の速度層別集計[クリックで拡大]
【事務局報告】
「地盤の三次元モデル:サンプルモデルサイト」について
 筆者(中田)は,全国地質調査業協会連合会が編集する『地質と調査』2017年第4号に,基礎技術講座として「三次元仮想空間映像による三次元地盤モデルの表現」という一文を執筆しました(現在,校正・編集中)。この中で紹介している全てのコンテンツは,以下のウェブサイトで一般に公開しています。
    https://www.web-gis.jp/3D_GeoModel_Demo/index.html
 以下に,公開中のコンテンツの中から代表例を紹介いたします。なお,同書は全地連のホームページで一般に公開されます。
【1】円筒モデルの例その1[一次元地盤モデル]]
・円筒の内側にテクスチャ(パネルダイアグラム)を貼ったモデルです。実際には16角柱のモデルとなっており,パネルダイアグラムも16角柱の外周に沿った座標で作成しました。
・VRゴーグルなどを着けて地中を覗く,という疑似体験を想定して作成したモデルです。
・VRMLとWegGLという二つの異なった映像化手法で公開しています。各手法については,公開サイトで解説しています。

図-7 円筒モデルの例その1[クリックで拡大]
【2】円筒モデルの例その2[一次元地盤モデル]
 ・円筒の内側に,360度展開写真(パノラマ)を貼ったモデルですが,実際には,「円筒モデルその1」と同じく16角柱を使用しています(直径や高さなどは異なります)。
 ・一見してパノラマ写真と変わらないようですが,図-8(右下)のように,近接写真にありがちなゆがみがかなり低減されていることがわかります。
 ・VRゴーグルなどを使用した疑似地下空洞体験などの利用を想定しています。

写真提供:川崎地質(株)
図-8 円筒モデルの例その2
[クリックで拡大]
【3】テクスチャモデルの例[準三次元地盤モデル]
 ・地表面のワイヤーフレームモデルに,地形図や様々な平面図を貼り付けたモデルです。
 ・平面図は,土砂災害警戒区域図(急傾斜地,土石流),地すべり地形分布図,浸水想定区域図など様々なものが利用できますが,1度イメージ(jpgやpng)として保存する必要があります。
 ・ワイヤーフレームの作成に使用する標高データは,『CIMに対応するための地盤情報共有基盤』>「三次元地盤モデル作成支援サイト」>「(3)標高データの取得」で作成すると便利です。
                   [クリックで拡大]⇒

図-9 テクスチャモデルの例(鎌倉市中心部の急傾斜地)
【4】境界面モデルの例[三次元地盤モデル]
 ・「境界面モデル」とは三次元地盤(地質)モデルの教本で「サーフェスモデル」と記載されているものを言い換えただけです。CGの世界で言うサーフェスと,情報地質系で言うサーフェスでは,その意味が微妙に異なっているため,CGやVRの世界に合わせました。
 ・図-10は,全体が8層構造ですが,半透明の地表面と最下層の2面のみ表示してあります。境界面モデルを俯瞰する場合,境界面が重なるため下の境界面が見えないという最大の欠点があるため,表現方法に最も苦労するモデルと言えます。

図- 10 境界面モデルの例[クリックで拡大]
【5】疑似ソリッドモデルの例[三次元地盤モデル]
 ・図-11のように,モデルの地表面をテクスチャモデルで表し,地質構造体の周囲をパネルダイアグラムで表したモデルです。
 ・地質構造体の中は空洞なので見ることはできませんが,地質断面図を見慣れた目には最も理解しやすい表現方法のような気がします。
 ・パラパラ漫画のように,切断面を自由に動かすことにより,地質の構造をより理解し易くなるでしょう。









   地質構造体を消去した手前の部分にも,
   ボーリングモデルを表示しました。          ⇒

図-11 疑似ソリッドモデルの例[クリックで拡大]
【6】杭基礎をイメージした複合モデルの例[三次元地盤モデル]
 ・図-12は,建築の杭基礎と地質構造を表現してみた比較例です。
 ・図-12(上)は,溺れ谷の底に軟弱地盤が堆積し(境界モデル),杭に見立てた円柱を打ち込んだと言うイメージです。上図の手前部分は,軟弱層を貫通して支持層まで打ち込んでありますが,この図からはよくわかりません(垂直に回転させて底の部分を見ると,支持層まで届いていることがわかりますが)。

 ・図-12(下)は,杭の部分にパネルダイアグラムを併記した結果です。パネルダイアグラムでは支持層直上の軟弱層の存在が描かれているため,杭の先端が支持層まで届いていない様子がよくわかります。

 ・このように,境界モデルと他のモデルを組み合わせることにより,より理解しやすい三次元モデルを作成することができると考えています。

図-12 複合モデルの例(杭基礎をイメージ)[クリックで拡大]
【7】マイクロゾーニングをイメージしたパネルダイアグラムの例
   [三次元地盤モデル]
 
・図-13は,地震時の揺れの大きさを推定するマイクロゾーニングをイメージしたパネルダイアグラム群です。
 ・各パネルの交点が,前述した鉛直一次元柱状体モデルを作成する場所である,と考えてください。
 ・このモデルだけ縦横比を圧縮してあります。手前のパネルが衝立となって向こうが見えなくなるのを少しでも防ぐためです。

図- 13 パネルダイアグラムの例[クリックで拡大]
【事務局報告】
公式ウェブサイトのレンタルサーバ移行について
 当機構の公式ウェブサイト(http://www.gupi.jp)は,従来(株)フリービットが管理するレンタルサーバを使用していましたが,昨秋,先方から「の事業見直しにより閉鎖したい」との通告を受けました。
 理事会で審議した結果,(株)大塚商会が管理運営する「アルファメールシステム」に移行することとしました。11月末から作業を開始し,12月25日に,ウェブシステムとメールシステム共に移行を完了しました。
移行に際し,ウェブサイトの身元を保証するために「SSL/TLS」による暗号化通信方式を採用しました。これに伴い,認証済みのアドレスを https://gupi.jp に変更しました。
 従来の「http://www.gupi.jp」へもアクセスは可能で,この場合は自動的に「https://gupi.jp」へ接続先が変更するように設定されています。
 アクセスすると,下図のように身元保証のマーク(鍵)が表示されます。続いて管理者名(一部省略)と,国籍を示す(JP)が表示されます。なお,電子認証局は「Cybertrust Japan Co., Ltd.」です。
【編集後記】
NewsletterNo.114をお届けします。
 ウェブサイトとメールシステムの切り替え作業などで,4ヶ月ぶりとなってしまい,大変失礼いたしました。スタッフが少数なので,ご容赦ください。
 今年の冬は,「56豪雪」と同じくらい沢山の雪が降りました。3月を迎え,関東地方ではようやく梅が満開を迎えようとしています。
 しかし,まだまだ寒い日が続きます。ご自愛くださるよう,お祈りいたします。